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Kt:v

Kt/vとは。透析効率を見る。Kt/VspとKt/Veの違いなども

透析に関わっていると必ずどこかで聞く単語だと思いますが
Kt/v ( ケイ・ティー・パーブイまたは、ケイ・ティ・オーバー・ブイ )
とはなにかをまとめていきたいと思います。

Kt/vとは

Kt/vは、標準化透析量といわれ
透析量が十分に足りているかを判断する指標になります。

  • K = 尿素のクリアランス
  • t = 透析時間
  • v = 体液量

を表していて、いわゆる式を表しています。
「 K ( 尿素のクリアランス ) × t ( 透析時間 ) 」で
毒素が何ml除去できたかを求めます。
つまり透析によって綺麗になった毒素なし体液の量。これを「クリアスペース」とも呼びます。
これを、「 V  ( 体液量 ) 」で割ることで
1回の治療で、体液全体が何回きれいになったかを求めることができます。
簡単に式で表すと、Kt/V=クリアランス×透析時間÷体液量

1.透析量は、尿素のsinglepool KT/V(spKT/V)を用いることを推奨する。
2.透析量は、月1回以上の定期的な測定を推奨する。
3.実測透析量として、以下の値を採用する。
1)最低確保すべき透析量としては、spKT/V 1.2を推奨する。
2)目標透析量としては、spKT/V 1.4以上が望ましい。
4.透析時間は、4時間以上を推奨する。
維持血液透析ガイドライン:血液透析処方 透析会誌46(7) 587~632.2013

また、このKt/Vspは、週3回の治療で1回の治療が6時間未満の患者さんを対象にしています。
なので、週2回の治療の方や1回の治療で6時間以上行っている場合は
別の指標で透析量を評価する必要があります。

【 K 】

Kは、尿素クリアランスを意味し、ある意味ダイアライザのクリアランスを表します。
単位は、ml/minで、したがって、1分間で綺麗になる尿毒素の量を表しています。
Kt/Vの計算では、尿素のクリアランスが使われます。
尿素を使う理由は、血液、細胞外液、細胞内液どの部分でも同じ濃度で分布しているからです。

技士さん
ダイアライザのクリアランスは
添付文書には記載されているけど
基本的に血流量200ml/min
透析液流量500ml/min
除水0ml/minの時の値だから
一概には考えられなから
それぞれの条件がことなる
患者の透析中のダイアライザの
クリアランスを求めるのは
実際には難しいね。

【 T 】

Tは、透析時間を表し、単位は、min。

【 V 】

Vは、患者の体液量を表します。
体液量の単位は、mlをで表します。
ただ、体液量は年齢・性別、体脂肪など患者事で異なり
体液量を正確に求めるのは難しいと考えられています。
体重での比率が異なります。

技士さん
透析は、体液すべてを綺麗にする治療。
血液中の毒素を除去するのではなくて
血液を介して体液すべての毒素を除去している。

KT/Vの求め方

K、T、Vそれぞれの値を正確に求めることは難しく
単純にK×T÷Vでは、Kt/vを求めることはできません。
式はいろいろありますが代表的な式が
daugirdasの式や新里の式がありますが
どちらも、大体同じ結果が出ます。

Kt/vsp = -ln(Ce/Cs-0.008t) + (4.0-3.5×Ce/Cs×⊿BW/BW)
 ( -ln{透析後BUN/透析前BUN-0.008×透析時間+(4-3.5×透析後BUN/透析前BUN)×除水量/透析後体重} )
Kt/Ve = Kt/Vsp - 0.6 × Kt/Vsp / t+ 0.03
※ Lnは、自然対数の計算です。電卓があれば、簡単に計算できます。

 

また Kt/vにも種類みたいなものがあって
Kt/vsp とKt/veというものがあります。

Kt/vsp とKt/veとの違い

Kt/vといっても、いろいろ表記が違ったりします。
single-pool Kt/v(Kt/vsp)
equilibrated Kt/v ( Kt/ve)
standard Kt/V(Kt/vstd)
などがありますが
透析処方ガイドラインでは、Kt/vspが推奨され
大体、Kt/vsp、Kt/veの 2つをよく見る事が多いと思います。

Kt/vspは、single-pool Kt/v モデルというもので
Kt/vは、BUNが体液全体に均等に存在した上で、自由に移動できるという前提の上に成り立つ指標です。
ただ、実際には身体にはたくさんのコンパートメント( 区画 ) があって
均等に存在するとは限らず
細胞壁や毛細血管壁が抵抗になり、BUNは自由に移動することはできないのが現状で
体液全体を1つのコンパートメントとして考える、Kt/vspと
コンパートメントを考慮し
平衡化した ( equilibrated )、Kt/Veの2種類が有ります。

透析処方ガイドラインでは、Kt/vspが推奨されていますが
透析時間が違う地域などで比較する場合などは、Kt/veが有用だとされています。

Kt/vsp ( spKt/v )

Kt/vspは、single-pool Kt/v モデルというもので
BUNが体液全体に均等に存在し、自由に移動できるという前提で
体液全体を1つのコンパートメント ( 区画 ) = 1つのプール ( single-pool )としたモデルです。

Kt/ve ( eKt/v )

Kt/veは、equilibrated もしくは、Kt/vDouble-pool Kt/v モデルというもので
BUNは実際は、細胞壁や毛細血管壁が抵抗になり自由に移動できません。
このコンパートメント ( 区画 ) を考慮したモデルで
クリアランスギャップによる
尿素のリバウンド現象の影響などを補正し
体内の尿素が平衡状態となった時点のBUNを推定して求めるモデル。
Kt/vspより、大体 0.2程度低い値となることが多い。

クリアランスギャップ
・ シャント再循環 :穿刺部が近い場合や、高血流では、静脈回路から戻った血液の一部が動脈回路へと再循環する。
・心肺再循環 :シャントから心臓へ戻った血液は、肺へ送られ心臓に戻り全身へ送られるが、一部の血液は心臓から再度シャントへ送られる

KT/Vの目標値

Kt/V=1ということは、全身の体液が1回透析されたという事です。
Kt/vの値が上がるほど、死亡リスクは下がることがわかっています。
最低でも4時間透析ではKt/Vは1.2以上、5時間透析では Kt/v=1.4以上
であることが望ましいとされています。
特に、体格が大きい人は、V(体液量)が大きいので
どうしてもKt/vが低くなってしまいます。
Kt/vを上げるには、KとTを上げることです。
透析クリアランスは、QB ( 血流量 ) を上げるか、ダイアライザを大きくする。
そして、透析時間上げることで Kt/vは上げる事ができます。

 

参考:血液浄化療法ハンドブック ( 透析療法合同専門委員会 )
  :維持血液透析ガイドライン:血液透析処方 透析会誌46(7) 587~632.2013

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