L-CAP ( 白血球除去療法 )

  • 2021年7月31日
  • 2021年8月12日
  • CAP療法

L-CAP ( Leukocytecytapheresis ) についてまとめです。
白血球除去療法で、単球・顆粒球・リンパ球もろもろ除去する治療方法。
不織布なので固まり易く使いづらいので
基本的には、GMA ( G-CAP )を選択する事が多い。

L-CAPの適応疾患

  • 潰瘍性大腸炎 ( UC : Ulcerative Colitis )
  • 関節リウマチ ( MRA : Malignant Rheumatoid Arthritis )

潰瘍性大腸炎 ( UC : Ulcerative Colitis )

潰瘍性大腸炎(UC)は、腸粘膜に潰瘍ができる炎症性腸疾患です。
若年から青年層に好発して、原因は不明。日本全国で約16万人の患者さんがいます。
完治が難しく、特定疾患(難病)に指定されています。
大腸粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成し
下痢、下血、熱、腹痛などの症状が出現します。
また、長期間UCを患わっていると大腸癌んなどの悪性腫瘍の発生率が上昇します。

炎症性腸疾患患者の病変部腸管内粘膜には、活性化された好中球・好酸球・リンパ球が集まっています。これらをLCAPやGMAで除去することにより病態を改善させます。

関節リウマチ ( MRA : Malignant Rheumatoid Arthritis )

関節リウマチは、免疫異常により関節内で自己免疫応答が生じ、滑膜内血管造生や滑膜の増殖を起こし、軟骨・骨の破壊や変形をおこす病態です。これら関節障害に加えて、皮膚潰症、胸膜炎、心筋炎、など関節以外の症状を合併した病態が慢性関節リウマチ(MRA)です。

リウマチ患者の炎症関節部には、活性化T細胞が集まっており、炎症に活性化T細胞が関与していると考えられています。
LCAPでは、このような炎症に関与しているリンパ球を除去することにより病変の改善を目指します。

カラム

セルソーバ ( Cellsorba®︎ )

セルソーバ ( Cellsorba®︎ )は製造中止になっています。

リガンド

ポリエチレンテレフタレート不織布

保険適応

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定可能。
潰瘍性大腸炎に関して、一連につき10回を限度に算定できる。
劇症患者の場合は、11回算定できる。
償還価格:123000円(一般用)126000円(小児用)
手技料:2000点

慢性リウマチ

活動性が高く、薬物療法に抵抗性がある場合
発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって
以下の2項目を満たすもの
「 腫脹関節数6カ所以上、ESR50mm/hまたはCRP3㎎/dl以上 」

1クール週1回として、5週間に限って算定できる。
償還価格:123000円
手技料:2000点

注意点

  • ACE阻害薬との併用は禁止。
    吸着器は、陰性荷電しておりブラジキニンを誘導する作用があります。
    ACE阻害薬を併用している場合、ブラジキニンの代謝を阻害して血圧低下のショックを起こす恐れがあります。
  • 治療中は、血液が吸着器の上から下に流れるようにセットする。
  • LCAPは、膜の目詰まりが起こりやすい為、圧力(入口圧と出口圧の差)をこまめにチェックする。
    入口圧と出口圧の差が100mmHgを超えた場合は、膜や回路の目詰まりを疑い返血操作を行う。
  • メシル酸ナファモスタットを500ml生食に添加する場合は、5%ブドウ糖液で溶解してから添加する。
  • LCAPでは、膜が詰まりやすいので抗凝固剤を500ml生食に添加して、輸液ポンプにて投与する。
  • 返血時は、吸着した物質を遊離させないように、治療中と同じポンプ速度で運転する。
    また、吸着器をゆすったり、たたいたりしない。
  • 比較的多い副作用として、頭痛がある。
  • ブラッドアクセスとしては、療法の正中皮静脈や大腿静脈を使用することが多い。
  • 「感染症、貧血、心血管疾患、アレルギー既往、白血球3000/mm3未満、血小板10万/mm3以下」の場合
    症状を悪化させる恐れがあるので慎重に適応する。

※ その他、注意点については添付文章をご確認ください。

添付文章

治療

準備方法・プライミング

物品の準備

  • 血液浄化装置
    ( 動脈圧と静脈圧が監視できる装置 )
  • 回路
  • 吸着器
    ( セルソーバEX,セルソーバEL,セルソーバC )
  • 抗凝固剤

プライミング手順

吸着器を生理食塩水1000mlでプライミングする。
LCAPは、膜の目詰まりがしやすいのでしっかりとエア抜きをする。
吸着器を抗凝固剤添加生理食塩水500ml(メシル酸ナファモスタット20mg添加)でプライミングする。
吸着器の上から下に血液が流れるようにセットする。

治療条件

潰瘍性大腸炎の治療には、セルソーバEを使用します。
通常は、セルソーバEXを使用する。
体重が30kg未満では、セルソーバELを使用する。
関節リウマチの治療には、セルソーバCを使用します。
CS-100とCS-180の2つのサイズがあり、血漿処理量により使い分けます。
血液流量:15~25ml/min(EI),30~50ml/min(EX)
時間:約1時間
血液処理量:1800~3000ml(潰瘍性大腸炎)、2000ml or 4000ml(関節リウマチ)
抗凝固剤:メシル酸ナファモスタット20~50mg/h(生食500mlに50㎎を添加して輸液ポンプで投与)

セルソーバ ( Cellsorba®︎ )は製造中止になっています。

 

LCAPは、とにかく膜が目詰まりを起こしやすく
治療開始 5分で入口圧が上昇して中断しなければならないことも結構あります。
固まりやすいことから、GMAを選択すること多い印象です。

セルソーバ ( Cellsorba®︎ )は製造中止になっています。

 

参考:血液浄化療法ハンドブック ( 透析療法合同専門委員会 )

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