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LDL吸着

LDL吸着療法は、LDLを吸着除去することによる
閉塞性動脈疾患の治療を目的とした血液浄化療法です。
PA ( Plasma Adsorption = 血漿吸着) の部類に入る治療方法で、血液を血漿分離器で「血球成分」と「血漿成分」に分離し、分離した血漿のみを吸着器に通して病因物質を吸着する治療法です。

LDLとは、悪玉のコレステロールで、動脈硬化の一番の原因です。LDLが上昇すると、狭心症や心筋梗塞の原因にもなります。LDLコレステロールの値は、100mg/dl未満が望ましいと言われています。

今回は、このLDL吸着療法の適応疾患のまとめになります。

LDL吸着の適応疾患

  • 難治性高コレステロール血症
  • 家族性高コレステロール血症 ( FH : Familial Hypercholesterolemia )
  • 閉塞性動脈硬化症 ( ASO : ArterioSclerosis Obliterans )
  • 単状糸球体硬化症 ( FGS : Focal GlomeruloSclerosis )

LDL吸着療法が保険適応される疾患です。

家族性高コレステロール血症(FH)

遺伝的に血中LDLが高く食事や・投薬でも下がりにくい。

条件:薬剤投与によっても高脂血症(総コレステロール≧140mg/dl)が持続する場合。

閉塞性動脈硬化症(ASO)

動脈血管の内膜にコレステロールなどが付着して血管が細くなる状態。

条件:Fontaine分類Ⅱ度以上の症状を呈する
薬剤療法により、血中総コレステロール220㎎/dl,あるいはLDL-C値140mg/dl以下まで低下しない高コレステロール血症
膝窩動脈以下の閉塞、または広範な閉塞部位を有するなど外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない場合

巣状糸球体硬化症

腎臓の糸球体の一部に硬化性の病変ができ、ネフローゼ症候群の症状を示す。高LDL血症や高脂血症が増悪因子になる。

条件:ステロイド抵抗性を示すネフローゼ症候群で、総コレステロールが250㎎/dl以下に低下しない場合

カラム

リポソーバ ( LIPOSORBER®︎ )

リポソーバー

リガンド

  • デキストラン硫酸固定化セルロースゲル

保険適応

LDL吸着療法の償還価格
血漿交換用血漿分離器:29100円
血漿交換療法用特定保険医療材料(吸着器 ):88900円

手技料:4200点(42000円)

  • 家族性コレステロール血漿・・週1回まで
  • 閉塞性動脈硬化症・・・3カ月間に10回まで
  • 巣状糸球体硬化症・・・3カ月間に12回まで

注意点

  • ACE阻害薬との併用は禁忌
    吸着器であるリボソーバには、陰性荷電したデキストラン硫酸が使用されており、これにより血中にブラジキニン(血管拡張作用がある)が誘導されます。ACE阻害薬は、ブラジキニンの代謝を抑制する作用がある為、ACE阻害薬を使用している患者の場合、血中のブラジキニン濃度が上昇して血圧低下の恐れがあります。LDL吸着を施行する患者の場合は、かならず事前にACE阻害薬を中止させる必要があります。
  • LDL吸着療法は、「体外循環開始による血液量減少、病因物質の吸着による血液粘度低下、ブラジキニン誘導などの影響など」で血圧低下しやすくなります。さらに、治療の対象患者も高脂血症などで動脈硬化が促進されている場合が多いのも血圧低下の要因です。
  • 治療開始時は、血流量や血漿流量を少なめに初めて様子を見ながらポンプ速度を上げます。
    血圧低下が著しい患者の場合は事前に回路内を5%アルブミン製剤で置換しておくという方法もあります。
  • LDL吸着療法では、血液の凝固因子が吸着されるため出血傾向が助長されます。
    LDL施行患者は、消化管出血などを事前に確認してから始める必要があります。
    特に、抗血小板薬や血管拡張薬などを使用している場合は、注意が必要です。

治療

準備方法・プライミング

物品の準備

  • 専用機器
  • 血漿交換用血漿分離器
  • 吸着器
    ( LA-15、LA-40Sがあります。)
  • 賦活液
    ( 治療中に、吸着器を洗浄するのに使用します。)
  • 生理食塩水
  • 抗凝固剤

装置

MA-03

装置はいろいろありますが、基本的にはカネカメディカルのMA-03が使用されることが多いと思います。MA-03は、2本の吸着器を使用することで、片方で吸着しながら、もう片方を賦活液で洗浄することができます。吸着器が詰まってきたら順番に洗浄できるので、膜の目詰まりがなく、たくさんの血漿を処理することができます。

技士さん
症例数も多く無いので、ほとんどの施設は機器は効果なのでレンタルすることが多いよ。大体、治療1回で1万円程度。
他にもACH-Σでも、LDL吸着療法を施行することはできます。
ただし、ACH-Σの場合は、治療中に吸着器を洗浄することができないからMA-03と比較して血漿処理量が少なくなります。

治療条件

血液流量:50~100ml/min
血漿流量:15~30ml/min
治療時間:2~3時間
目標血漿処理量:3000~5000ml

LDL吸着療法の効果・目標

家族性高コレステロール血症(HF)

LDL-Cなど血清脂質の低下

閉塞性動脈硬化症 ( ASO )・末梢動脈疾患( PAD )

  • 微小循環の改善(血液粘度低下、凝固因に吸着)
  • 血管拡張作用
  • 血管新生作用
  • 動脈硬化抑制作用(抗炎症作用、脂質低下作用など)

巣状糸球体硬化症 ( FGS )

  • タンパク尿の減少
  • 血清Albの上昇
  • 血清脂質低下
  • 浮腫改善など

 

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参考:血液浄化療法ハンドブック ( 透析療法合同専門委員会 )

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